2023年9月発売
9mg 607.8円
活動性潰瘍性大腸炎(軽症~中等症)に使えるステロイド内服製剤です。
潰瘍性大腸炎の寛解導入療法として古くからプレドニゾロンなどのステロイド製剤が使われてきました。ステロイドは全身に作用する薬で長期に使用することで糖尿病、感染症、骨粗しょう症、満月様顔貌などの副作用が問題となります。ブデソニドは吸収後速やかに代謝されるため全身性の副作用を抑えられます。本剤では従来のステロイド剤に比べ副作用を10%程度に抑えられます。さらにコレチメントは大腸に効率よく大腸に到達し、持続的なブデソニドの放出できるように。製剤設計(pH応答コーティング、マルチマトリックス)の工夫によりS状結腸や直腸でのより強い効果が期待できます。
・1日1回 1錠(9mg)を朝内服
IBDで使用できるブデソニド製剤として、他にゼンタコートカプセル、レクタブルがあります。
センタコートカプセルは経口薬でクローン病に対して使用されます。レクタブルはお尻から注入する泡状の薬です。潰瘍性大腸炎の下行結腸~直腸の炎症に効果があります。
2023年6月発売
300mg15mL1瓶 192,332円(1日薬価:6,869円)
100mg1mL1キット 126,798円(1日薬価:9,057円)
中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療薬です。インターロイキン(IL)-23と言うサイトカインのp19サブユニットに結合する抗体です。IL-23は大腸粘膜の炎症に関与するサイトカインで、IL-23を阻害することで、炎症が抑えられる可能性があります。
当初(寛解導入治療) 点滴静注(30分以上)4週間隔3回
その後(寛解維持治療) オートドーザーを使用した皮下注射(5分程度) 4週間隔
オンボー®適正使用ガイドより抜粋
特に注意が必要な副作用は、重篤な感染症と過敏症です。主な副作用(発現割合1~5%未満)は頭痛、上気道感染(急性副鼻腔炎、上咽頭炎、口腔咽頭不快感、口腔咽頭痛、咽頭炎、鼻炎、副鼻腔炎、扁桃炎、上気道感染、ウイルス性上気道感染)、注射部位反応です。
投与前に結核、B型肝炎、C型肝炎のチェックを行います。また、妊婦・小児への投与は投与経験が少なく慎重投与となっています。
オンボー®は生物学的製剤に分類される薬剤で、同じ抗IL-23p19モノクローナル抗体としてスキリージ®やトレムフィア®、イルミア®がありますが、オンボー®のみ潰瘍性大腸炎に適応があります。潰瘍性大腸炎に適応のある類似薬としてステラーラ®(ウステキヌマブ)があります。ステラーラ®はヒト型抗IL-12/23p40モノクローナル抗体であり、オンボー®と同じくIL-23を阻害しますが、ステラーラ®はIL-12も阻害します。効果に関してオンボー®とステラーラ®どちらが優れているかは分かっていません。オンボー®が4週おきの投与なのに対してステラーラ®は12週おきの投与で良いこと、オンボー®の投与量が一定なのに対してステラーラ®は体重換算されていること、オンボー®は寛解導入時*1、維持治療中*2ともに効果が乏しいときに追加投与可能なのに対して、ステラーラ®は維持治療中の投与期間の短縮のみ可能です。
2022年11月 潰瘍性大腸炎に適応拡大
2023年6月 中等症から重症の活動期クローン病に
適応拡大
45mg1錠:1日薬価 9,677.6円、30mg: 同 7,351.8円、
15mg:5,089.2円
中等症~重症の潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチやアトピー性皮膚炎等に使えるお薬です。
リンヴォックは、炎症性サイトカインの情報伝達(JAK-STAT経路)を抑制する薬です。サイトカイン受容体には「JAK(ヤヌスキナーゼ)」と呼ばれるタンパク質が活性化することで情報が核へと届けられ炎症を惹起します。JAKにはJAK1~3までありますが、特にTNFαやIL-6の作用する受容体はJAK1が関与しているとされています。リンヴォック®はJAK1を強く阻害することで、TNFαやIL-6による刺激が核に伝わるのを遮断して炎症を抑える薬剤です。
・1日1回の内服薬
・はじめに炎症を抑える場合(寛解導入):45mg×8週間
・炎症を長期的に抑える場合(寛解維持):15mg あるいは30mg
妊婦には投与できません。内服中は避妊する必要があります。内服中止後1月経周期を開ければ妊娠可能です。高齢者は慎重投与、小児は安全性が確立していないため投与できません。結核・B型肝炎・C型肝炎患者、腸管憩室症、静脈血栓症、間質性肺炎のある患者、腎機能障害、肝機能障害のある患者は投与に注意が必要であり、投与前に精査が必要です。
・副作用 感染症に対する注意が必要です。特に、帯状疱疹(4.5%)、肺炎(1.1%)、ウイルス感染、結核(頻度不明)には注意が必要です。また、B型肝炎や結核が活性化する可能性があるため、投与前には採血やレントゲン検査後に内服開始となります。
ジセレカ®含めJAK阻害薬は低分子化合物です。TNF-α阻害薬などの抗体製剤は分子量が大きく、薬剤に対する中和抗体が作られ治療効果が減弱していくことがあります。低分子化合物は、中和抗体産生がないため、効果減弱がないと考えられています。現在潰瘍性大腸炎で使用できるJAK阻害薬としてジセレカ®の他にゼルヤンツ®とリンヴォック®があります。その中でジセレカ®とリンヴォック®がJAK1選択的阻害薬でゼルヤンツ®はJAK1とJAK3(高用量でJAK2)を阻害します。副作用の軽減を目指して作られたのがJAK1選択的阻害薬であるジセレカ®とリンヴォック®です。効果に関してはJAK阻害薬間での優劣はわかっていません。
2022年5月 中等症の潰瘍性大腸炎承認
120mg1錠:200円(1日薬価:4,800円)
潰瘍性大腸炎では炎症部位へのリンパ球などの炎症性細胞浸潤がしています。カログラはα4インテグリン阻害作用を有する潰瘍性大腸炎に対する内服薬です。リンパ球は表面にあるα4β1 インテグリンによって血管の壁に接着した後に腸管組織へ細胞が到達し炎症がおきますが、カログラは血管から腸管組織へ移動を抑制することで炎症を鎮静化させます。この薬はステロイド使用前に使用することができます。重症例の適応はありません。
1回8錠を1日3回食後に服用します。のため1日24錠内服をします。
服用期間は最大で24週間となります。8週間の休薬後、再度内服することができます。
妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与できません。授乳には医師との十分な相談が必要です。メカニズムから感染症に対する免疫能に影響を及ぼす可能性が否定できないため、感染症の発現や増悪には注意が必要です。
副作用は感冒症状、頭痛、悪心、肝機能障害など様々な副作用がありますが特に注意力減退、記憶障害、混乱、性格変化、認知症などは神経症状であり注意が必要となります。
2023年1月 クローン病に適応拡大
600mg10mL1瓶:192,321円
(1日薬価6,868円)
360mg2.4mL1キット:508,169円
(1日薬価18,148円)
IL-23p19は免疫反応で働くサイトカインでクローン病患者では免疫システムが異常を起こしているため、IL-23が過剰に産生されます。スキリージはIL-23p19の働きを抑えることで腸管に対して炎症を抑えていきます。
2022年9月にクローン病に対し承認され、中等症から重症のクローン病に対し寛解導入療法及び維持療法に使用することができます。また既存の生物学的製剤での治療困難の患者にも有効であると報告されています。
はじめに4週間隔で3回の点滴投与(1時間程度)を行います。12週目から皮下注射製剤を8週間毎に投与(オートドーザーと言われる器具で5分程度)します。治療中に効果が弱くなってきた場合は単回ではありますが点滴製剤を増量して投与することが可能です。
投与前にB型肝炎及び結核などの感染症検査をします。はしか、風疹、おたふくかぜなどの生ワクチンの接種はできません。そのほかの予防接種に関しては担当医に相談をお願いします。副作用に関しては感染症、頭痛や疲労感、注射部位に赤みや腫れが見られることがあります。
2022年3月 潰瘍性大腸炎に適応拡大
200mg1錠 4,973円(1日薬価:4,973円)
ジセレカ®は既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入/維持療法に使用されます。TNFαやIL-6、IL-2等の炎症性サイトカインがそれぞれの受容体に結合すると情報が核に伝えられ炎症が起きます。各受容体には「JAK(ヤヌスキナーゼ)」と呼ばれるタンパク質が付いています。JAKが活性化して情報が核へと届けられ炎症が起きます。JAKにはJAK1~3までありますが、特にTNFαやIL-6の作用する受容体はJAK1が関与しているとされています。ジセレカ®はJAK1を選択的に阻害することで、TNFαやIL-6による刺激が核に伝わるのを遮断して炎症を抑える薬剤です。
ジセレカ®200mgを1日1回経口投与します。患者の状態に応じてジセレカ®100mgを1日1回投与へ減量することもできます。
妊婦には投与できません。内服中は必ず避妊する必要があります。内服中止後少なくとも1月経周期を開ければ妊娠可能とされています。
高齢者は慎重投与、小児は安全性が確立していないため投与できません。結核・B型肝炎・C型肝炎患者、腸管憩室症、静脈血栓症、間質性肺炎のある患者、腎機能障害、肝機能障害のある患者は投与に注意が必要であり、投与前に精査が必要です。
重大な副作用として、帯状疱疹(0.2%)、肺炎(0.3%)等の感染症(日和見感染症を含む)、消化管穿孔(頻度不明)、好中球減少(0.1%未満)、リンパ球減少(0.1%未満)、ヘモグロビン減少(0.1%未満)、ALT上昇(0.6%)、AST上昇(0.5%)等の肝機能障害、間質性肺炎(頻度不明)、静脈血栓塞栓症(0.1%未満)が報告されています。主な副作用(1%以上、10%未満)は、尿路感染、上気道感染、浮動性めまい、悪心です。
ジセレカ®含めJAK阻害薬は低分子化合物です。TNF-α阻害薬などの抗体製剤は分子量が大きく、薬剤に対する中和抗体が作られ治療効果が減弱していくことがあります。低分子化合物は、中和抗体産生がないため、効果減弱がないと考えられています。現在潰瘍性大腸炎で使用できるJAK阻害薬としてジセレカ®の他にゼルヤンツ®とリンヴォック®があります。その中でジセレカ®とリンヴォック®がJAK1選択的阻害薬でゼルヤンツ®はJAK1とJAK3(高用量でJAK2)を阻害します。副作用の軽減を目指して作られたのがJAK1選択的阻害薬であるジセレカ®とリンヴォック®です。効果に関してはJAK阻害薬間での優劣はわかっていません。
近年、IBDの新規治療薬が多く登場しています。多くの薬剤はステロイド治療に反応しない患者さん(=抵抗例)や、ステロイドに反応するが減量すると再燃する患者さん(=難治例)が対象です。難治性潰瘍性大腸炎の令和4年度の厚労省研究班の治療ガイドラインでは、下図のように示されています。赤字は改定点です。このガイドライン策定後にIL23抗体(ミリキズマブ、リサンキズマブ)やカロテグラストメチルも発売になりました。新薬の登場でより良い治療が可能となりましたが、どの薬をどの患者さんに使用するのが良いのかわかっていません。多くの薬の中から最適な使用薬を決定するためには、患者さんと一緒に話し合って決定する必要があります。患者さんの生活スタイルに合った来院間隔、投与経路(注射、注射期間、自己注射、内服)、過去の治療経過、年齢、妊娠・出産の影響、重症度、副作用などを考慮して決定します。患者さんには個々の薬剤の概要を把握して頂くことが重要ですので当センターでは、最近発売された薬剤概要をIBD ニュースとして掲載していくこととしました。これらの薬剤は、大船中央病院で使用できます。
「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班) 令和4年度分担研究報告書