<定位放射線治療>
脳転移の数が少ない場合は定位放射線治療(ピンポイント照射)で制御
多発脳転移に対しては、部位に応じて照射量に強弱をつけるテーラーメイドの治療(Simultaneous integrate boost法)を実施
シェルを用いた痛みのない治療法を採用
腫瘍には集中的に強く放射線が当たる一方で、周囲の脳組織にあたる放射線量は少ないため、効果が高く副作用の頻度は少ない治療が実現可能です。(下図)
詳細は当院で定位放射線治療を行う際に患者さんにお渡している説明書をPDFファイル をご参考ください。
脳転移が多発している場合、画像でみえる転移以外にも微小の転移が隠れていることが多く、定位放射線治療のみでは、照射部位以外から早期に再発する可能性が高いと考えられます。そのため、脳全体に中等量の放射線を照射(=全脳照射)することが一般的です。
しかしそれでは画像で見える転移を長期間制御することは難しいため、定位放射線治療と全脳照射のどちらでも再発しやすいというジレンマがありました。
当院では、全脳照射をしつつ画像で見える転移には定位放射線治療並みの強い放射線量(下動画赤~黄色領域)を照射するSimultaneous integrate boost法という高度な照射法を行い、画像で見える転移も、画像でとらえにくい微小転移の出現も制御する治療を行っています。
さらに、患者さんの病状によっては、脳全体には中等量、画像で見える転移には高い放射線量を照射しながら、短期記憶に深くかかわる海馬にあたる放射線量を可能な限り少なくする照射法も行っています。
文責 : 鶴貝雄一郎